平成11年3月 − 去るにあたって −

             湯川 力
 海南高校在職中の3年間は、同窓会や保護者の皆様をはじめ地域の方々には大変お世話になりました。去るにあたり振り返れば、教育行政の場で長く過ごした私にとって、久し振りの学校生活であるということもありましたが、それ以上に海南高校の伸びゆく時期に巡り合せたことの幸せをつくづく感じ、3年間の出来事が走馬灯のごとくよみがえってきます。青春の情熱を燃やした文化祭や体育祭、歯を食い縛って頑張った高野山から野上中学校まで歩いた健脚遠足、楽しい沖縄への修学旅行など活動的で明るい生徒たちに囲まれた3年間は大変楽しく過ごせました。しかしながらその一方で本校は地域の学校として、生徒の進路保障やクラブ活動などで地域の皆様方から学校に寄せられる強い関心や大きな期待をひしひしと感じ、それに応えていく学校づくりの重責を痛切に感じて過ごした毎日でもありました。

 私が着任した平成8年は、本校の活性化が地域の大きな関心事となり、その期待に応えてゆくべき努力を積み重ね、改革の骨格が固まりつつある時期でありました。多様な生徒に対応するため普通科に大幅な選択制やコ−ス制を導入するなど様々な試みがなされているなかで、学校活性化の起爆剤として教養理学科が設置されて2年目に入り、地域からの刺激と校内の努力が相まって学校活性化の兆しが様々な面で実を結びつつありました。クラブ活動の面では全国大会に出場するクラブをはじめ、県大会上位入賞を果たすクラブが増大し楽しみが増えました。さらに学習面でも、日頃の授業を大切にするとともに、集中学習や進学補習また自習室を活用した自学自習など生徒の主体的な取組みが進み、大学進学などでも年々その成果が飛躍してきました。

 校舎や校庭の改装整備の進捗と相まって、生徒の意欲がみなぎる雰囲気作りが実を結びつつあり、本校は今、高校生がその成長を託せるにふさわしい物心両面からの環境が整いつつあります。この後なお一層充実していく海南高校とともに過ごせないのは誠に残念ではありますが、後任として着任した、濱口校長を中心に職員が一丸となって今後とも地元の期待に応え得る学校づくりに取り組んでいくものと確信しています。これもひとえに地元のみな様の学校にお寄せくださる期待と励まし、関心の深さによるものと心から感謝申し上げています。引き続き海南高校に対する地元の変わらないご支援を頂けますことをお願い致しますとともにこれまでのご厚情に御礼申し上げてご挨拶といたします。